フェレットの毛球症

今日はフェレットさんの胃内毛球症の紹介です。
毛球症は中年齢(3歳前後)で発症し、長毛種やアンダーコートが密な個体に多く認められます。
胃内毛球症が最も多く、健診時に触診で発見される場合や胃の出口や腸に閉塞して吐き気や食欲不振の症状を呈して発見される場合があります。

姫ちゃんは2歳の避妊雌のフェレットさんで、2-3日前からの食欲廃絶と数回の嘔吐を主訴に来院されました。
元気はあったため‘念のため病院に行っておこう‘と軽い気持ちで飼主さんは受診されたそうです。
身体検査にて胃が硬く触知され、レントゲン検査でも数日の食欲廃絶にも関わらず、胃の膨満が認められました。

胃内異物を疑いバリウム検査を実施したところ、バリウムの通過障害はないものの胃内に毛球が描出されたため、即刻、試験開腹手術を実施することになりました。

術前に数時間の静脈点滴により脱水の改善を図った後、鎮静・注射麻酔にて導入後、気管挿管ガス麻酔にて維持し、胃切開にて毛球を摘出しました。


毛球は胃内に複数形成されることもあり、胃内だけでなく腸内にも閉塞存在していることもあります。姫ちゃんの場合は術前のバリウム検査で腸での通過障害はなく、実際開腹時にも腸内には毛球は認められませんでした。
姫ちゃんの術後の経過は良好で、翌日には元気にケージにあさるさんのようによじ登ってごはんを要求していましたが、24時間後から流動食を少しずつスタートしました。食欲旺盛で食事制限に対し不服そうでした。1週間後に無事退院となり、術2週間後での再診時には、いつも通りドライフードを食べ、元気いっぱいでした。
今後は流動パラフィンを含有した練り状の毛球除去剤を定期的に舐めさせてもらい、予防していきます。また、部屋に散歩で出す時は、じゅうたんや布きれ、髪の毛などを摂取しないよう気をつけてもらっています。
フェレットさんの場合も皮膚は埋没縫合で吸収糸で隠すように縫合するため、抜糸は必要なくまた多少齧っても離開しないため、術後はエリザベスカラーも必要なくいつも通りのもぐる生活ができます。

胃内異物は発症後いかに早く治療を開始するかが予後を左右します。経過が長く、重度の脱水を起こしていたり、下痢を伴い膵炎や炎症性腸疾患を併発していたり、異物の物理的圧迫により粘膜壊死を起こしている場合は手術で異物を摘出できたとしても予後が厳しくなります。フェレットさんはとっても陽気な性格なため、かなり病気が進行するまで元気はなくなり難いです。フェレットさんが食欲不振や元気消失、嘔吐・下痢などを呈した場合は元気でも早めに動物病院を受診しましょう。


ファミリー動物病院付属
エキゾチックペット診療室
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